2017/05/31 16:10

Many CHOICEで作る、タンニンなめしの革小物は、
他のものと何が違うのかを書いていこうと思います。

電動の機械は使用せず総手縫い
コバは切り目本磨き
にこだわり制作しています。


世間には、手作りと書かれたものがたくさんあります。

その中にも機械やミシンを使ったものも含まれていますので、
そことの違いを知っていただければ、幸いです。


お客様に向けた説明ですので、全体の工程をざっくりと書いていきます。


試行錯誤の中で、選びぬいた製作工程ですので、
コバを含め、記載できない部分があります。


「イタリアンオイルバケッタレザー」定番長財布の工程です。

















①型紙製作

(何度も何度も試行錯誤しながら、制作していきます。)

②ケガキ

(型紙を革にあて、裁断線をひいていきます。)












③ 裁断

(革の部分部分で表情が違うため、完成図をを思い浮かべながら裁断していきます。)













④ 床面 (裏面の起毛部分)磨き

独自に配合した、ノリを床面磨き用の工具を使って、倒していきます。   
私のところでは、更に1工程を加えています。

画像左になります。












⑤縫線・金具の取り付け・ヘリ落とし(革の角を落とす作業)















⑥コバ(革の断面)磨き1回目

コバ磨き前
















写真には載せませんが、
直接肌に触れるものですので、
染料以外全て天然由来のものを使用しています。
 
市販のコバ磨きスティックと自分で制作した、磨き道具と磨きノリを使い、
(画像のものは、市販のスティックです。)

磨き・ヤスリ・染料・焼きなど、12工程ほどかけて
革や革の部分部分で、磨き方を変えながら、磨いていきます。














⑦穴あけ

下穴を菱目打ちで目印をつけ、
菱ギリで、一穴一穴開けていきます。

菱ギリで開けることにより、穴の大きさが整います。

(微妙なズレを手と目で確認しながら調整していきます。)











⑧縫製

総手縫い。
ミシンでは縫えない糸を使え、2本の糸で1穴を縛り上げるように
縫うので、頑丈で、表情が豊かです。


ミシンは一箇所糸が切れると解れてきますが、手縫いの場合、
1箇所所が切れても、ほつれにくい特徴があります。













⑨第2コバ磨き



⑩接着


エンマヤットコで圧着

クリップで留め、
10時間ほど固まるまで、接着します。











⑪ヤスリ

数種類のヤスリがけをしていきます。














⑫最終コバ磨き

直接肌に触れるものですので、
染料以外全て天然由来のものを使用しています。

磨き・ヤスリ・染料・焼き・蝋など、14工程ほどかけて
革や革の部分部分で、磨き方を変えながら、磨いていきます。
木のような艶やかなコバになります。

塗るタイプのコバの場合は、この工程が一瞬ですが、うちでは作業の半分の時間を割いています。


2工程だけの磨きだと、この程度です。













完成は、こんな感じになります。

















機械生産の市販のものの多くは、均一性と安定感があります。

対して、

人間の作る手作りの物は、一つ一つ違う個性と、
想いと情熱に裏付けられた意図せぬ「綾」があります。

加えて
バケッタレザーやタンニンなめしの革は、使い手により全く違う
革に育っていきます。

人間が作り、人間が磨き上げていく中で、より美しく成長していくことは、
歳をとるのではなく、
歳を重ねていくことだと思います。

共に歩む「時を刻む革小物」を
お届けできれば、幸いです。