2015/08/12 23:15

意外と知らない。エイジング(経年変化)する革と劣化していく革は、
何が違うのかを知ってもらうと、大げさに言えばモノ選びの視点が変わるかもしれません。
 
今回は簡単に書きますが、興味があればブログの記事を読んでいただければ、更に良くわかります。
 
革はざっくりと大きく分けると、
タンニンなめし   と  クロムなめし
染料染め     と   顔料仕上げ 
に分かれます。
 
「なめし(鞣し)」とは何か?
 
鞣しとは、「皮」を「革」にする工程です。
皮はそのままだと、当然腐り、強度が余りありません。
なので、「なめす」ことで、皮から革になり、腐らず強度が増し、みなさんが使っている革になります。
一般に出回っている革は、ブランドの高級皮革を含めクロムなめし・顔料仕上げのものが圧倒的です
※タンニン鞣し、染料染めのものは、しっかりと表記してあると思います。
 
 
「クロム鞣し」は、化学成分で短時間(数週間)で安価に「なめす」ことが出来るため(非常に良く鞣されている良い革ももちろんあります)、
大量生産に向いています。
 
特徴としては、経年変化はあまりしません。(一部する革もあります)
サラリとしていて、傷がつきにくく、柔軟性があり、水に比較的強いです。
 
対して
 
「タンニン鞣し」天然成分(ミモザ)などのタンニンでじっくりと時間をかけて(質はピンきりです。)
なめされた、元の皮の質感を残した味わいのある革です。
なめすのに時間(1年近くかかるものも)と手間がかかるため、大量生産に向いていない高価な革です。
 
特徴は、経年変化(エイジング)をしていきます。(顔料仕上げの場合、あまりわかりません。)
柔軟性がまし、透明感のある艶を纏い、
使い方により、なめし方により変化は様々です。
なめしによりぜんぜん違う質感。
元々の傷や、トラ、血管のあとなど、個体差が色濃くでます。
良い革ほどデリケートで傷はつきやすく、使い始めは水に比較的弱いです。
 
 
次に「なめした革」に色を付ける方法です。
大きく分けて、
「染料染め」 と 「顔料仕上げです」
 
一般に出回っているものは、ほとんど「顔料仕上げ」です。
 
「顔料仕上げ」を簡単に言うと、ペンキやアクリル絵の具です。
量産品や、革の変化を望まれない方に向いている仕上げです。
ぱっと見きれいなのですが、
革の上に乗っているので、手触りは顔料の手触りで、
元々の革の質感を消し、色の変化はほとんどありません。
時間が経つと、銀面(表面)が剥がれてしまいます。
光沢を増していくように見えるのは、実は汚れが光っているだけです。
 
対して
 
「染料染め」を簡単に言うと、染料や水彩絵の具です。
染料は、革に染みこむため、元々の革の質感や状態を色濃く残したまま、色を入れていきます。
革の質感が色濃く残るため、ごまかしが効かず、素肌が綺麗な状態の革の数は多くありません。
 
革の質感の変化(エイジング)をする革が好きな方に向いているのが染料染めです。
時と共に深みをました色合いに変化していきます。
傷が付いても同色の為、味のある傷です。
革の品質やなめしにもよりますが、透明感のあるツヤを纏っています。
 
 
個人的な見方ですが、いい素材(革)には顔料仕上げは使われていない気がします。
鞣しのシッカリしている革や素材が良く、素肌がきれいな革の場合、
その質感を活かした染料仕上げにすると思うからです。
 
いい素材は、出来るだけ手を加えず、
古くなって品質の落ちたものには、2次加工をして綺麗に見せる手法をよく見かけます。
 
 
長くなりましたが、エイジング(経年変化)をしていく革は、
タンニン鞣し・染料染めがベストです。
 
タンニン鞣しの染料染めの革は、
元々の革の状態が出ます。
 
生き物なので、傷もありますし、部分部分で質感も強度も違います。
水に弱く、傷もつきやすく、手入れも必要になっていきます。
 
手間はかかりますが、それ以上に「育てる楽しみ」があります。
生き物ですので、大げさではなく一つ一つ違います。
 
時を刻む革は、使い手によってエイジングも全然違います。
傷にそれぞれ思い出が刻まれていきます。
 
手間がかかり、情熱を持って人が作る革や革小物には、
便利さや均一さ以上の魅力があると思います。
 
手入れをしながら使うものは、どこにもない「自分の物」になつていきます。
 
そんな楽しみを感じていただければ、幸いです。
 
Many CHOICEで現在取り扱っている革は、
 
 
 
 
イタリアンバケッタレザー・アリゾナ(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー可能です。
  
イタリアンバケッタレザー・エルバマット(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー可能です。
 
 
イタリアンヴィンテージバケッタレザー(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー可能です。
 
イタリアンバケッタレザー・プエブロ(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー・新規に革を取り寄せる場合、要お問い合わせ
 
イタリアンバケッタレザー・ブッテーロ(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー新規に革を取り寄せる場合、要お問い合わせ
 
イタリアンオイルバケッタレザー(バケッタ製法・タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー休止中
 
EUヌメ革タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー可能です。
 
 革の宝石ルガトー(タンニン鞣し・染料仕上げ)※セミオーダー休止中

クロムエクセル(コンビなめし・染料染め・プルアップ)※セミオーダー可能です。
 
 
エルクスキン (タンニン鞣し・染料仕上げ)
 
です。